子宮内膜症|みやざきレディースクリニック|福岡市城南区鳥飼、別府駅の婦人科

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子宮内膜症

子宮内膜症|みやざきレディースクリニック|福岡市城南区鳥飼、別府駅の婦人科

子宮内膜とは

子宮内膜症

子宮内膜症という疾患は、よく聞くわりにはよくわからない病気です。そもそも子宮内膜とはどのようなものでしょうか。
子宮内膜は、子宮の内側にある受精卵を受け止めて育てる組織です。子宮の中で内膜は作られ、妊娠しなければ剥がれ落ち、また作り直しています。剥がれ落ちた子宮内膜が膣から流れ出すことが「生理」です。
子宮内膜は毎月、新しく作られます。正確には女性ホルモンが体内で高まると、子宮内膜が増えていきます。
女性ホルモンが体内でなくなると、子宮内膜は剥がれ落ちます。子宮内膜は、ある意味、生理のもととなる組織なのです。

子宮内膜症とは

子宮内膜は生理のもとになる組織でした。では、子宮内膜症という疾患はどういう状態なのでしょう?
子宮内膜は、本来、子宮の中にある組織です。それがなぜか子宮以外に存在することがあります。これを子宮内膜症と言います。子宮じゃない所に子宮内膜がある病気を子宮内膜症と言うのです。
子宮内膜症ができる代表的な場所は、子宮の周囲や卵巣の中です。
子宮以外の場所に子宮内膜があると、子宮以外の場所で毎月生理が起きるのです。基本的に生理の血液は子宮から流れて、体の外に出ていきます。子宮内膜症では流れ出ていく場所がないので、その場所でたまり続け、炎症を起こします。
進行すると慢性の骨盤痛や生理痛、不妊になる可能性がある疾患です。女性の10人に一人が子宮内膜症だと考えられています。強い生理痛をもつ女性の3人に一人との報告もあります。

原因とリスク

現時点でもっとも可能性の高い原因として考えられているのが、生理が腟の方ではなく、卵管を通ってお腹に流れるという説です。
それ以外にも正常な組織が子宮内膜に変化してしまう可能性などいくつかの説はありますが、まだわかっていなことが多い疾患です。
初めての生理が早く来た人や生理の周期が短い人はリスクが高く、出産回数が多くなるとリスクは低くなります。生理の回数が多いほどリスクになりやすいことがわかります。
現代の人は妊娠数も少なく、初産の年齢も上がっているため、昔に比べて子宮内膜症になりやすい傾向にあります。

症状

生理痛

子宮内膜症の人は生理中に子宮以外の場所で出血が起きているので、子宮の周囲の広い範囲にわたり、強い痛みが起きます。
年々、症状がひどくなる場合、生理とは関係ない時期にも痛みがあったり、子宮以外の場所でも痛くなると子宮内膜症の可能性が高くなります。

性交渉や排便時の痛み

子宮と直腸の周囲に炎症が起きると、性交渉や排便時の痛みの原因になります。

不妊

卵管、卵巣に炎症が起きて癒着や損傷を引き起こすと、不妊になる可能性があります。

卵巣のう腫

卵巣の中に子宮内膜が入り込むと内部で出血した血液がたまり続けて、はれてくることがあります。時間が経過した血液は茶色く変色してチョコレートのようになるので、チョコレートのう腫と呼ばれています。
このチョコレートのう腫は少し怖い疾患で、ごく一部の人にがんが発生することが知られています。定期的に検査をすることがとても大事です。

診断

子宮内膜症の診断は、直接、お腹の中を見ることです。正確には手術をしないとわからないのです。とはいえ、あやしいからといって全員に手術をするわけにもいかないので、本当に必要な人だけに手術をして診断します。
不妊の人や慢性の痛みで日常生活にも支障があるような場合ですね。
一般的には超音波の検査と触診を行います。
卵巣に血液がたまったり、子宮に強い癒着が起きているような進行した子宮内膜症であれば、外来で行う超音波と触診で診断されることもあります。
軽度の子宮内膜症は一般的に外来で診断することはなかなか難しいのです。
検査でははっきり診断できないことも多いので、症状から子宮内膜症を疑い治療を開始することになります。

治療

子宮内膜症は完全に治すことが難しい疾患です。
病気そのものを治すよりも症状や将来のデメリットを回避することが治療の目標になります。

痛みどめ

子宮内膜症のほとんどの人が強い生理痛に悩まされています。
痛みどめ(鎮痛剤)は痛みを和らげる薬ですが、使い方を少し工夫すると効果に違いが出ることもあります。
生理痛の原因はプロスタグランジンという物質が主な原因ですが、痛み止めはこの物質を抑え込むことで効果を発揮します。プロスタグランジンが大量に産生されて痛みが出始めてから、薬を飲んだのではあまり効果が出ないのです。
できれば、早めに飲んで、最初から抑え込んでおく方が痛みにくいのです。具体的には生理が始まる2日前くらいから鎮痛剤を内服すると効果的とされています。
鎮痛薬は子宮内膜症への治療効果はありません。

ホルモン治療

生理は女性ホルモンでコントロールされています。
女性ホルモンである黄体ホルモンは子宮内膜の増殖を止める性質があります。これを利用して生理の量や期間を少なく短くします。痛みの原因物質であるプロスタグランジンは子宮内膜で作られるのですが、子宮内膜の量を減らすのでプロスタグランジンも減少して痛みが緩和されるのです。
ホルモン治療は痛み止めに比べて、劇的に効く治療です。
ピルが一般的に使用されています。ピルは卵胞ホルモンと黄体ホルモンを組み合わせたお薬です。ピルは避妊もできて、使いやすいお薬ですが、血栓症などの副作用の問題もあるので、黄体ホルモンだけを用いた治療も使われることがあります。
ホルモン治療は子宮内膜症が進行することを予防する効果もあります。
ちなみに妊娠すると生理がなくなるので、子宮内膜症はよくなります。

手術

症状がひどい場合、妊娠を目的にする場合には手術が選択されることもあります。
手術により直接、子宮内膜病変を取り除く治療ですね。
また、大きめのチョコレートのう腫も手術が選択されます。大きめのチョコレートのう腫はがんのリスクが高く、痛みの原因にもなるからです。